KMZ社のZORKI-5には、初期型と2nd-Versionの2種類が存在する。外観 上の主な相違は、軍艦部の形状、距離計窓の形、ロゴの表記であるが、最 も異なることは、製造台数の違いであろう。文献によれば、ZORKI-5 1st- Versionは1958年〜1959年の期間中、125,000台が製造されたことになって いる。一方、2nd-Versionは、1959年の1年間だけ製造され、その台数は たかだか11,500台だ。これを見る限り、2nd-VersionはZORKI-2と並ぶ製造 台数の少なさで、現在となっては激レアモデルであると言えよう。 ところが、市場に流通している様子から判断すると、全く逆なのだ。 2nd-Versionの方が玉数も多いし値段も安い。一方、1st-Versionとなると 流通量が極端に少なくなり、値段もアップする。ショップの中には、レア モデルであるとわざわざ断り書きを入れているところもあるくらいだ。 真相については、不明だ。通常考えると、製造期間が長かった1st- Versionの方が製造台数が多いと思われる。そして、製造年が少しでも新 しい2nd-Versionの方が、現在でも市場に多く残っていると言えなくもな い。この辺りが、ロシアカメラの怪しさであり、醍醐味でもあろう。 ここに掲載したZORKI-5 1st-Versionはシリアル番号5831839で、1958年 製造のモデルである。基本的な構造はZORKI-2Sを踏襲しており、これに フィルム巻上げのレバーを搭載して操作性を向上させている。この巻上げ レバーのメカは、その後発売される一眼レフカメラ、ZENIT-3Mにも使用さ れている。
メーカー | KMZ社 |
モデル名称 | ZORKI-5(1st-Version) |
製造期間 | 1958年 - 1959年 |
総生産台数 | 125,000 台 |
掲載モデルの製造年 | 1958 年 |
掲載モデルのシリアル番号 | 5831839 番 |
シャッタースピード | B、1/25、1/50、1/100、1/250、1/500 |
搭載レンズ | LZOS. INDUSTAR-50、50mm/F3.5 |
搭載レンズのシリアル番号 | 68012550 |
搭載レンズのマウント形式 | ライカ・スクリューマウント |
ZORKI-5の初期型と2nd-Versionとの相違は、ロゴ表記とレンジファイン ダー窓の形状、及びトッププレート前面のデザインがあげられる。2nd- Versionでは楕円形のロゴプレートが貼り付けられているが、初期型では 金属面に刻印されており、しかもその色が赤となっている。このデザイン は、いかにも冷戦時代のソ連を象徴しているようだ。シンクロ接点はXとM の両方が搭載される。シャッタースピードは開放から1/500まで、6段階 に設定可能。ファインダーはFED-2のものをベースとしており、焦点は中 央に表示される四角い部分で2重像を合致させれ行なう。ファインダー内 部は明るく見やすい。 ここに掲載したZORKI-5初期型に搭載されるレンズはKMZ社製では無く、 モスクワ近郊のLutkarinoというところにあるKMZ社系列の工場、LZOS (Lytkarino Optical Glass Factory)で製造されたものである。型番は INDUSTAR-50、50mm/F3.5と同じであるが、レンズに記載されているロゴ マークが異なっている。このレンズは、ZORKI-5及び6に、標準で搭載され ていたようである。